人気ブログランキング | 話題のタグを見る

しあわせ介護

hirahirasara.exblog.jp

脳硬塞の後、脳出血。そして泣いている内に、気管切開、胃ろう、寝たきり。そんな、話せなく、食べれなくなった夫を自宅で介護中。

ホームレス




もう随分前
夫と一緒に
大阪へ旅行した時
沢山のホームレスを
見かけた。


道端に
段ボールや
ブルーシートが
いっぱい並んでいて
そこに、寝ている人や
リヤカーを引いている人たち。

その中には
段ボールに座り
ただただ
地面を見つめて
座るだけの人もいて
結構きれいな恰好だったりすると
まだ、なり立てで
日が浅いんだろうな?
と思ったりもした。

でも、うちの周りは
都会ではないので
20年に1度
1人見かければいい方。





今日
アパートの近くのポストに
行く途中で

河原の草の辺りを
さしかかった時
棒か何かで刺したり
草を集めてるような
動きをする
不思議な人影を見た。

草刈り?
してるのかな?と
思っていたけど
なんとなく
ただの棒に見える。



歩いて
近づいていくと
草むらに
口を結んだ
ゴミ袋が3袋
置いてある。

中は草ではなくて
洋服のようなものや
プラスチックの容器が
入っている。

視線をあげて
動いていた
人に近づき
後ろ姿を見ると
頭がない149.png!!!

体勢が変わって
横向きになると
首が曲がっていて
肩よりも下に
顔がある
だけだった130.png

ただ、たぶん
もう何年も
そんな状態で
まっすぐ前を見て下さいと
言われても

首が曲がって
顔は下にあるママ
そんな感じの人だった。
(カオナシのような感じ)

そんな風に思っていると
その人と
目が合った。

目が合った瞬間に
ようやく
「あ、ホームレスだ」
と、思った。

私と目が合った後
すぐに、
草をガサガサし始めて

寒いのに
青いダウンジャケット1枚
髪もぼさぼさで
たぶん、ずいぶんお風呂に
入ってないんだろうなと
思いながら
ガサガサしている
その側を通りすぎた。。。





ポストに封筒を入れ
なんとなく
ポストの近くの
スーパーに入る私。

細長い菓子パン
6本入った袋
98円が
目について
買ってしまった。





帰り際
同じ道を通る。
だから、もし
帰りにも
いたらコレをあげよう!

喜んでくれるかな?
嫌いかなコレ?

よかったらどうぞ?
って言えばいいかな?
受け取ってくれるかな?

あ、でも
実は
ホームレスじゃなかったら
どうしよう?
傷つくよねきっと。

いらないって言われたら?

いや、そもそも私が
そんな事できる?
言える?
言えなかったら
だまって差し出そうか?

あ、でも徒歩だから
すぐ、そこに見える
アパートまで
付いてこられたら?
住んでる所
突き止められたらどうしたらいい?
逃げられない。

すごく、怖い人だったら?
事件に巻き込まれたら?






沢山考えて
ダメだった。

結局、私には
勇気がなくて
渡せなかった。

まだ、草をガサガサしている
側を通り過ぎて
すぐに
涙が出てきた。

きっと私より
お腹がすいてるのに
渡せない。
「ゴメンナサイ
 本当に、ゴメンナサイ、、、」
そう、言いながら
自分の勇気のなさに
なさけなくて
ボロボロ涙がでて
泣き続けて
アパートに戻った。





大阪で見た
ホームレスの人たちになら
渡せたような気がする。
周りに
普通に大勢
人が歩いてたし
夫もそばにいたし。

だけど、今の私には
出来なかった。






子供の頃
母親の親が
田舎に住んでいて

夏休みの度に
2泊3日

里帰りする母親と
妹と私で
電車にゆられて

おじいちゃん
おばあちゃんに
会いに行っていた。



田舎の家には
いつも

母親の
父親(おじいちゃん)と
母親(おばあちゃん)と
弟(小児麻痺だったっけ?で身障者
  おにいちゃんと呼んでた)と
おじさん(仙人のような人?)の4人が
いた。


その中の
おじさんは
白髪交じりの
頭の髪がボサボサで
髭もボウボウで
長かった。


小学校に上がる前の
物おじしない頃の私は
そのおじさんの
胡坐をかいた中に
座って
髭をひっぱったり
「おじさん、何歳?」
とか、言って
遊んでいた記憶がある。



毎年夏
時々、おじさんは
居たり、居なかったり?

田舎のおじいちゃんが
「この前、出てったけど
 また、帰ってきたよ」
とか、言う会話を
何度か聞いたと思う。


そのうち、私が
小学校の高学年に
なる頃

母親が
「おかしいでしょ?
 追い出しなさいよ!」
「イヤ~、出てけとは
 言えんやろ」と、
おじいちゃんと
ケンカをしていて

何の事だろうと思っていたら
次の年から、おじさんの姿を
見なくなった141.png



「どうして?
 おじさんいないの?」
と、聞くと
「おじさんじゃない
 親戚でもない!」
と、いう母。

「そうなんだ
 じゃあ
 おじさんは
 なんで
 ココにいたの?」
の質問に

困っている
おじいちゃんと
おばあちゃんの
側で
やたら
満足そうな母の顔が
あった。


その頃は
ホームレスという
言葉も知らないし
普通に
「おじさん
 どこ行ったんだろ?」
としか思ってなかった。




その後、数年かけて
ちょっとずつ聞いた
話を総合すると

おじいちゃんや
おばあちゃんは
戦争を経験しているので

お腹を空かせている
おじさんを見かけ
不憫に思い
「一人増えるくらい
 大した差はない
 食べていけ」
と言って
ご飯をあげ

「寝る所ないんなら
 泊まっていけ」
と言って
田舎の家の
床の間のある
一番いい部屋に
泊まらせていたらしい。


おじさんは
気候が暖かくなったら
出て行って
暮らしにくくなったら
戻ってきてたらしく

そういえば
一度だけ
田舎に
正月に
行った時

お風呂に入って
髭もそって
お酒を飲んでた
おじさんを
見たのは
寒かったからか?
のちに
納得した。
(正月だから
 身ぎれいになってた
 たぶん、風呂入れ~!と
 言われたんだろうとは思うけど)

そうやって
出ていって
また、お腹がすいたら
やってくるを
繰り返して
何年も過ぎていったらしい。







ホームレスと言っても
社会にしばられて
ただ、働きたくない
というだけで
なる人もいると
思う。

けど、
働くと
イジメられたり
うまく社会に
溶け込めなかったり
する人もいると思うし

心が傷ついて
働けなくなって
死ぬ事すらできず
さまよってる人も
いると思う。

今日見た
あの人は
たぶん、虐げられて
社会から拒絶されて
ああ、なったはずなのに。





私は
おじいちゃんや
おばあちゃんのように
ご飯をあげて
家に泊めてあげる事が
出来ない142.png


だけど、本当は
少しだけでも
役に立ちたかった!

お弁当、買ってあげて
お茶もつけて
渡したかった。

あるいは
おにぎり握って
「コレ、食べてね!」
って、渡して
お金も少し手に握らせて
「これで、好きなもの買ってね!」
って、やさしい笑顔で
渡したかった。




偽善者って
言葉がある。
だけど
そうじゃない!

今の自分が
ホームレスに
近い位置にいるのが
すごくよくわかるから
ほんの少しでも
助けたかっただけ145.png



今、私が、「コレどうぞ!」
と、おにぎりを
誰かにもらったら
私は
「ありがとう」と、言って
食べるし
お金もくれるのなら
遠慮せず貰う。


恥なんて
もう、どこにもないはずなのに
それなのに

なのに、怖くて
渡せなかった。


寒かったろうに
お腹すいてたろうに
と思うと
何もできなかった自分が
悔しくて
情けなさで
哀しくなる。






私が、まだ生きていたら
今度、出会うのは
20年後なのかもしれない117.png

その時
おにぎり
渡せたら、

助けられなかった
ダメで
どうしようもない
私を
許してくれるだろうか?
 







介護
病気・闘病



by hirahirasara | 2019-02-22 23:33 | 毒親

by hirahirasara